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公開日:2017年8月8日

 住宅金融支援機構では、経営の健全性を維持し、国民の皆さまからのご理解と信頼が得られるように、業務上発生しうる様々なリスクを適切に管理する態勢の整備に取り組んでいます。
 具体的には、リスク管理の目的、各リスクの特定・定義、リスク管理体制・手法、リスク管理の実施状況の監査等基本的な体系を定めた「リスク管理基本規程」、各リスクの具体的な管理手法等を定めた「信用リスク管理規程」等のリスク管理規程を制定しています。これらに基づき、住宅ローン等の事業の特性を踏まえたリスク管理を実施するとともに、住宅金融支援機構の業務・特性を踏まえ、各リスクを総体的に把握・評価することによる統合的な観点からのリスク管理を行うこととしています。

リスク管理態勢

 住宅金融支援機構では、リスクの種類を信用リスク、保証リスク、保険引受リスク、市場リスク、運用先等信用リスク、流動性リスク及びオペレーショナルリスクに分類しています。また、経済情勢等の大きな変化があった場合は、必要に応じて新たに管理すべきリスクを特定することとしています。
 これらのリスクを定性面・定量面から適切に管理するために、各リスクの管理を担当する役員・部署を定める等必要な体制の整備に取り組んでいます。中でも、信用リスク、保証リスク及び保険引受リスクの管理については「信用リスク管理委員会」を、市場リスク、運用先等信用リスク及び流動性リスクの管理については「ALMリスク管理委員会」を設置しています。これらの委員会では、各リスクの状況をモニタリングするとともに、各リスクの管理に関する企画・立案等について審議しています。
 また、各リスクを統合的な観点から管理するために、統合的なリスク管理を担当する役員・部署を定め、各リスクの計量結果、管理状況等を全体として把握・評価し、定期的に役員会に報告する等の体制を整備しています。

リスク管理体制

信用リスク

 信用リスクとは、住宅金融支援機構が保有する債権に係る債務者の信用力の悪化等に伴い、資産の価値が減少又は消失することにより損失を被るリスクをいいます。住宅ローンを主な資産とする住宅金融支援機構においては、ローン債権の買取審査及び与信審査並びに保有するローン債権の管理及び自己査定を的確に実施するとともに、信用リスク全体の把握、分析及び管理に努めています。

買取審査、与信審査

 ローン債権の買取審査及び与信審査に当たっては、審査に関する基準や実施方法を定め、適正な審査を行っています。

自己査定

 住宅金融支援機構が保有する貸付債権等について的確な信用リスク管理を行い、また、「独立行政法人会計基準」に基づいた適切な財務内容の開示を行うため、金融庁の「金融検査マニュアル」等に準拠した自己査定基準を制定し、自己査定を行っています。具体的には、回収の不能又は価値の毀損の危険性の度合いに応じて資産を分類し、過去の貸倒等の実績を踏まえ算定した予想損失率を乗じる等の方法により、貸倒引当金を算定しています。

与信ポートフォリオ管理

 住宅金融支援機構が保有する債権全体の信用リスク量及びリスクの所在を正確に把握するため、与信ポートフォリオ管理システムによる定期的なモニタリングを通じて、住宅ローンの利用状況の分析、将来の損失発生見通し、必要な信用リスクプレミアムの見直しを行っています。また、信用リスク管理の強化を図るため、与信ポートフォリオ管理システムを活用したリスク計量の一層の充実に取り組んでいます。

保証リスク

 保証リスクとは、保証事故の発生状況が保証料設定時の予測に反して変動することにより損失を被るリスクをいいます。住宅金融支援機構では、証券化支援業務(保証型)におけるMBSに対する保証等を引き受けています。これらの保証の引受けに当たっては適正に審査を実施するとともに、保証リスク全体の把握、分析及び管理に努めています。

保険引受リスク

 保険引受リスクとは、保険事故の発生状況が保険料設定時の予測に反して変動することにより損失を被るリスクをいいます。住宅金融支援機構では、民間金融機関の住宅ローンが事故になった場合の保険を引き受けています。保険の引受けに当たっては適正に審査を実施するとともに、与信ポートフォリオ管理システムを活用したモニタリング、将来収支分析による責任準備金の十分性の検証等を通じて、保険引受リスク全体の把握、分析及び管理に努めています。

市場リスク

 市場リスクとは、金利等のリスク・ファクターの変動に伴い期間損益が変動するリスクをいいます。住宅ローンを主な資産とする住宅金融支援機構においては、期限前償還リスク、再調達・再運用リスク、パイプラインリスク等があります。

期限前償還リスク

 期限前償還リスクとは、金利の低下等に伴い貸付金に係る期限前償還額が増加し、予想していた利息収入を逸失すること等により期間損益が悪化するリスクをいいます。住宅金融支援機構では、期限前償還モデルにより期限前償還額を推計するとともに、住宅ローンの証券化、多様な年限による債券発行等を組み合わせて資金を調達することによって管理を行っています。

再調達・再運用リスク

 再調達・再運用リスクとは、資金の再調達又は再運用が必要となる場合において、調達金利の上昇に伴い支払利息が増加すること又は運用金利の低下に伴い受取利息が減少することにより期間損益が悪化するリスクをいいます。住宅金融支援機構では、金利モデルを活用することにより、将来の金利変動を加味した資産・負債のキャッシュフローを推計し、当該キャッシュフローにより発生する期間損益を計測するとともに、デュレーション等のリスク指標の定期的なモニタリングを実施することによって管理を行っています。

パイプラインリスク

 パイプラインリスクとは、住宅ローンの融資金利決定からその原資の調達金利決定までの期間に金利が変動することにより期間損益が変動するリスクをいいます。住宅金融支援機構では、必要に応じてヘッジ目的の金利スワップ取引を行うこと等により管理を行っています。

運用先等信用リスク

 運用先等信用リスクとは、余裕金の運用先である債券の発行体、金利スワップ取引のカウンターパーティー等の財務状況の悪化等に伴い、資産の価値が減少又は消失することにより損失を被るリスクをいいます。住宅金融支援機構では、債券の発行体、金利スワップ取引のカウンターパーティー等の信用リスク管理方法を定め、モニタリングを実施しています。

流動性リスク

 流動性リスクとは、財務内容の悪化等により必要な資金繰りがつかなくなること又は資金を確保するために通常より著しく高い金利での資金調達を余儀なくされることにより損失を被るリスク及び市場の混乱等により市場において取引が行えなくなること又は通常より著しく不利な価格での取引を余儀なくされることにより損失を被るリスクをいいます。住宅金融支援機構では、流動性リスク対応の管理基準として流動性資産等の保有額の下限額を設定し、当該基準を日々遵守し安定的な資金繰り運営を実施しています。また、緊急時の借入枠の設定により調達手段を確保しており、資金繰りの逼迫度に応じた管理区分(平常時、警戒時、危機時)を設定するとともに、「警戒時」及び「危機時」の対応について定めています。さらに、資金繰りに影響を与える事態が生じた場合に迅速に対応を行うことができるように行動計画(コンティンジェンシー・ファンディング・プラン)を定めるなど、体制を構築しています。

オペレーショナルリスク

 オペレーショナルリスクとは、業務の過程、役職員の活動若しくは情報システムが不適切であること又は外生的な事象が発生することにより損失を被るリスクをいい、このリスクには、事務リスク、システムリスク、法務リスク、人的リスク、有形資産リスク及び風評リスクが含まれます。住宅金融支援機構では、顕在化したリスク事象の収集による発生状況の把握、原因分析等を踏まえた対応策の策定等に取り組むとともに、業務に内在するリスクとそれを抑止するコントロール手法を自己評価し、その評価結果に基づき業務改善を行うRCSA(Risk & Control Self-Assessment)に取り組む等、オペレーショナルリスク管理体制の強化に努めています。

主なオペレーショナルリスクの定義と管理手法

事務リスク

 事務リスクとは、役職員(役職員以外の者で機構の業務に従事する者を含む。)が正確な事務を怠ること若しくは事故、不正等を起こすこと又は機構の業務に従事していない者による不正により損失を被るリスクをいいます。住宅金融支援機構では、事務処理マニュアルの整備、事務改善への取組、相互チェックの徹底、事務指導・研修の実施、内部自主点検、事務リスク顕在化事例の情報の収集・分析・再発防止への取組等により事務リスクの削減に取り組んでいます。

システムリスク

 システムリスクとは、情報システムのダウン、誤作動、不備、不正使用等により損失を被るリスクをいいます。住宅金融支援機構では、重要度に応じた区分とリスク評価に基づく対策の実施、性能・信頼性・情報セキュリティ等を踏まえたシステム開発、システム障害の把握・分析・再発防止措置の実施等によりシステムリスクの削減に取り組んでいます。また、万一の障害に備え、危機管理マニュアルを定めるとともに、必要に応じてシステムの二重化、バックアップセンターの設置、災害対応訓練等安定的な稼動の維持に努めています。

法務リスク

 法務リスクとは、法令等違反、不適切な契約締結その他各種取引上の法律関係の不確実性により損失を被るリスクをいいます。住宅金融支援機構では、内部規程の制定、契約書の作成、広告の掲出等を行う際には、法務担当部署によるリーガルチェックを行い、法務リスクの削減に取り組んでいます。また、法令の制定改廃状況、業務に関連する判例等について情報を収集し、法令等違反の防止に努めています。

その他

 統合的なリスク管理の取組として、中長期的な生涯収益シミュレーションを行っています。
 同シミュレーションにおいては、将来の金利変動等を加味したキャッシュフローを前提に、信用リスク及び市場リスクの両リスクから発生する損失が金利収入で賄われているかどうかをリスク横断的に計測しています。
 また、同シミュレーションの中で両リスクについてのストレステスト及び事業量の変化に係るシナリオ分析も行っており、両リスクの増加に対する財務上の耐性等を確認しています。