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バリアフリーは誰のため? 〜家族みんなに便利な「手すり」〜

<strong>牧野裕美</strong>
牧野裕美

前回のコラムサイト内他のページへリンクで、使いやすい「手すり」の位置や形状には個人差があり、身体状況に応じてリフォーム時に対応することがふさわしいと、お話しました。

でも、皆さんも住宅展示場のモデルハウスや、マンションのモデルルームで最初から階段や浴室に手すりが付いているのを、よく見かけますよね。

個人差によらず付けられている「手すり」には、どんな意味があるのでしょうか・・・?

手すりは何のためにある? 〜「家庭内事故」データより〜

「家庭内における事故死の状況」データのうち、住まいの基本的なつくりに関係する死因に着目してみます。多くは「浴室などでの溺死」で、ほか「同一平面上での転倒」「階段からの転落・転倒」などです。また、事故の多くは65歳以上の高齢者に起きていますが、65歳未満の年齢であっても事故が発生している点は見逃せないポイントです。

こうした家庭内での不慮の事故を未然に防止するためにも、「住まいのバリアフリー化」は、家族みんなにとっての安心な住まいづくりに欠かせないということが、あらためておわかりいただけると思います。

家庭内における事故死の状況(平成18年 人口動態統計(厚生労働省)より抜粋)
※ 図をクリックすると拡大します。

また、家庭内事故のうち、「浴槽内での溺死」や「階段からの転落・転倒」に着目すると、これを未然に防ぐための有効な方法のひとつが、「浴室」と「階段」への「手すり」の設置です。

「手すり」は、身体の動作を補助し、安全な歩行や移動を助けるといった役割があります。特に、家の中でも「身体のバランスを崩しやすい場所」である、「浴室」や「階段」に手すりを設置することは、お年寄りの方、身体の不自由な方だけでなく、家族みんなにとって安心な配慮といえます。・・・ということで、新築住宅に最初から設置されている手すりには、大きな意味があるわけですね。住宅展示場などに行かれた際は、ぜひ、手すりの使い勝手も体験してみてください。

家族みんなに安心な、手すりの付け方・選び方のポイント 〜「浴室」と「階段」〜

さて、「手すりの使い勝手の良さ」とは、具体的にどんなものなのでしょうか??今回は、「浴室」と「階段」の手すりについて、ポイントをいくつか挙げてみます。

◆「浴室」の手すり 3つのポイント
1 「浴槽の出入り」「浴槽内の立ち座り」のときに、手すりがあると安心です。
(浴室の床は通常濡れているため、大きく身体を移動するときには滑りやすいことから注意が必要です。「浴槽内の立ち座り」には、L字型の手すりが浴槽脇の壁についていることを多く見かけると思いますが、これは、万一の際のおぼれ防止にも効果的です。)
<参考図:浴槽の出入り用手すり> <参考図:浴槽内の立ち座り用手すり>
参考図:浴槽の出入り用手すり 参考図:浴槽内の立ち座り用手すり
2 手すりの太さは、28〜32mmが目安です。
(しっかり握ったときに、親指とほかの指先が軽く重なる程度がよいです。)
3 材質は、表面が樹脂被覆されたものが適しています。
(濡れた手でもしっかり握ることができ、また、耐水性にも優れています。)
◆「階段」の手すり 3つのポイント
1 手すりは、階段を下りる際に、利き手側にくるように設置します。
(これは、階段を下りるときに転落する事故が多いためです。なお、建築基準法施行例により、住宅の階段には手すりを設置することが義務づけられています。)
2 手すりの太さは、32〜36mmが目安です。
(基本的に手を滑らせながら使用するので、太いほうが安定感があります。)
3 手すりは、できる限り連続して設置し、端部は壁側へ曲げこみましょう。
(手放しの状態で、身体を移動させる部分が無いようにします。やむを得ず連続させることが出来ない場合でも、空き距離は400mm以下とします。また、端部は衣服の袖口にひっかかると危険なので曲げこむことが必要です。)

<参考図:手すりの連続性>

参考図:手すりの連続性

<参考図:手すり端部の曲げこみ>

参考図:手すり端部の曲げこみ

また、今回は詳しく紹介しませんでしたが、立ち座りが必要な場所である「トイレ」や「玄関」にも手すりがあると便利です。

将来の備えとしては、手すりを「付けられること(=壁下地)」が大切

家族みんなにとって便利な「手すり」ですが、高齢化など身体機能の低下により、身体の動く範囲が限られてくると、あらためて手すりの設置位置や形状を検討する必要が出てきます。

たとえば、関節リウマチ等により、手指を曲げにくく手すりを握ることが難しくなった場合は、横移動のための手すりの形状は円形でなく、平坦なものを選ぶこと等が必要になってきます。

<参考図:手すりの形状>

考図:手すりの形状

こうした身体機能の変化に対応するためには、「あとから手すりを設置することができるように、新築段階では、あらかじめ壁下地を補強しておく」ことが、とても重要です。新築時の手すり設置位置だけでなく、将来手すりが必要になると思われる箇所に、構造用合板などを用いて壁下地を補強することが、将来への備えとなります。

(平成20年10月)
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