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かぶり厚さって何? 〜鉄筋コンクリート造の住宅の耐久性〜

<strong>城地哲哉</strong>
城地哲哉

マンションの構造について、不動産屋さんや賃貸マンションの大家さんは、「うちのはテッキンだよ!」と言うこともありますね。

縮めていうと「テッキン」かもしれませんが、正しくは「鉄筋コンクリート造」といいます。テッキンとは、コンクリートの中に入れられ、コンクリートを補強する役割を果たしている鉄の棒(直径2センチなど。太いものは直径4センチのものもあります。)です。

私は、いくら縮めても「テッキン」とは言いません。鉄筋は鉄の棒のことなので、どうしても「このマンションはテッキンです!」には馴染めなくて(私ならテッキンコンクリートか、単にコンクリートと言います。)。

ところで、いかにも固くて頑丈そうな鉄筋コンクリート造。その耐久性のものさしの1つとして、「かぶり厚さ」という耳慣れない言葉があります。みなさんはご存知ですか。今回は、鉄筋コンクリート造のマンションなどの耐久性に欠かすことができない「かぶり厚さ」について簡単に解説します。

コンクリートは引っ張りに弱い

まず、なぜコンクリートを鉄筋で補強する必要があるのかということです。コンクリートは、押されるチカラには強く、引っ張られるチカラには弱いものです。コンクリートを引っ張るといっても、左右から直接引っ張るということではなく、例えば、コンクリートの梁の下側には、実は引っ張られる力が働いています。

( 参考イメージ図 梁の下側に働く引っ張り力)
( 参考イメージ図 梁の下側に働く引っ張り力)

そこで、引っ張られる力の加わる箇所を中心に、引っ張られる力に強い「鉄筋」を入れて補強したのが鉄筋コンクリート造なのです。

(参考イメージ図 梁の下側を鉄筋で補強)
(参考イメージ図 梁の下側を鉄筋で補強)

なお、梁の上側にも鉄筋を配置する方が強度が増すため、実際の鉄筋の配置は以下の図のようになっています。鉄筋は、下側にだけ入るわけではありません。

(参考イメージ図 鉄筋の配置)
(参考イメージ図 鉄筋の配置)

鉄とコンクリートとの相性

コンクリートは、セメント、水、骨材(砂利など)を混ぜ合わせ、それが化学反応によって硬化したものです。コンクリートは、最初はアルカリ性です。ですので、その中の鉄筋は錆びにくく(酸化しにくく)、強度を維持できるのです。

「最初」と言ったのは、実は、コンクリートは空気中の二酸化炭素など酸性分によって徐々にアルカリ性を失って中性になっていきます(これを「コンクリートの中性化」と言います)。

中性化してもすぐに鉄筋が錆びてボロボロになるワケではありません。中性化し、そこに水や塩化物イオンなど、錆の原因となる成分が存在して初めて錆びてくるのです。ですから、中性化そのものが悪いわけではありませんし、そもそも中性化は避けては通れないコンクリートの宿命なのです。

かぶり厚さを確保

でも、できるだけ鉄筋のまわりのコンクリートがアルカリ性を維持してくれた方が鉄筋コンクリートの耐久性が増すといえます。そこで「かぶり厚さ」が重要となるのです。

(参考イメージ図 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ)
(参考イメージ図 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ)

中性化を遅らせる方法はいろいろありますが、最も単純で効果的なのが、コンクリート表面から鉄筋までの距離(かぶり厚さ)を大きくすることです。他にはコンクリート表面をタイル張りとする、あるいは表面に有効な塗装を施すなどの方法もあります。要は、鉄筋を空気から遠ざけることが重要なのです。

ちょっと大げさですが、地球上に建築する以上、建物は必ず空気に接していますので、中性化は完全には避けられません。それを如何に遅らせるか、が重要です。

鉄筋コンクリート造の耐久性向上のために、「かぶり厚さ」が重要であることはご理解いただけたでしょうか。参考までに、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さは、建築基準法では、3センチ以上と定められています。また、住宅品質確保法の劣化対策等級2なら4センチ以上、等級3なら5センチ以上となります(いずれも屋外のはり部分でコンクリートの水セメント比55%以下の場合)。

(平成20年8月)

良質な住まいとは

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