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公開日:2023年7月3日

住宅金融支援機構理事長 毛利 信二

はじめに

 政府が専門家の議論を踏まえ、5月8日から新型コロナウィルス感染症を感染症法上の5類感染症に位置付けることを決定し、外出等の制限が見直される等、ポストコロナの新しい生活様式の定着が始まっています。

 一方、海外で発現した地政学リスクや紛争の影響は、国際的な資源や食料価格の高騰等を通じて、引き続き我が国の経済にとっても好ましくない物価上昇を招いています。国際協調が強く求められるこのような状況下において、5月のG7広島サミットで岸田総理が議長となられて、エネルギー・食料安全保障を含む世界経済、地域情勢、気候変動リスク等の国際課題について議論し、国際的なパートナーと連携して対応していく決意を世界に発信されました。自由で開かれた国際秩序を守り抜く決意と当該パートナーとの関与を強化することの重要性を確認した大変有意義な機会となったと承知しています。

 機構においても、引き続き、省エネルギー性能や耐震性能を備えた住宅の取得促進を住宅金融機能の提供によって支援する証券化支援事業を柱に、高齢者の住宅ニーズに応える住宅融資保険等事業や被災者の住まいの復旧・再建を支援する住宅資金融通等事業の実施等により、私たちのパーパス(存在価値)である「住まいのしあわせを、ともにつくる」ことのできる包摂的で持続可能な共生社会の実現に向けて、職員一丸となって取り組んでいるところです。

 これら事業を安定かつ継続実施するための資金は、主に機構MBS(Mortgage-backed Securities)と呼ばれている資産担保証券と機構SB(Straight Bond)及び機構SBに政府保証を付した政府保証付き機構GB(グリーンボンド)の発行により調達を行っており、令和4年度のそれぞれの債券の発行額は、機構MBSは12,154億円、機構SBは2,070億円、政府保証付きGBは2,400億円となりました。

 令和4年12月の日本銀行による金融政策の変更、そして植田日銀新総裁の記者会見等を受けて、市場金利は1年前と比べて大きく上昇しましたが、方向感の定まらない金利環境が足下も続いています。このような難しい起債環境の中、市場関係者の皆様の機構業務へのご理解とご協力により、令和4年度のこれら債券の発行総額は16,624億円に達しています。拡大を続けるESG債市場において、機構が令和4年度もグリーンボンドの最大の発行体であったことを確認することができたのは、住宅政策実施機関である機構の取組を皆様にご評価頂いた結果であると承知しております。市場関係者の皆様の機構及び機構業務に対するご信認に心から感謝申し上げます。

 令和5年4月以降の設計検査申請分から、長期固定金利型住宅ローンである【フラット35】の対象となる全ての新築住宅について、「断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級4」と同等の省エネルギー性能を有する住宅とする技術基準の見直しを行っています。令和7年4月に施行予定である新築住宅の省エネルギー基準適合義務に先行する機構独自の取組ではありますが、機構GBの資金が標準より高い省エネルギー性能を有する住宅の建設・取得のための資金に充当されることになります。昨年10月から取扱いを開始したZEHへの金利優遇措置と併せ、このような制度変更は、政府の「2050年カーボンニュートラル」の宣言にも記載されている脱炭素社会に向けた住宅の省エネルギー化を推進する取組とも合致しています。

 令和5年3月に機構GBに対するセカンドパーティーオピニオンを再取得しており、機構GBは環境省グリーンボンドガイドライン及び国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則の両方に適合する債券としての認証を受けています。また、令和5年度から、機構GBの対象となっている【フラット35】Sの実行件数を基準とするCO2排出量の削減効果についての定量開示も開始しました。今後も機構GBに対するご信認にお応えできるように、適宜適切な情報開示を続けて参ります。

 世界規模で進展する脱炭素経営に呼応すべく、機構においてもTCFDの提言に賛同し、気候変動に対応した経営戦略の開示を行っています。地球温暖化が原因とされる極端気象による災害リスクや少子高齢化の進む社会への対応策となる子育て支援も、重要な経営テーマであり続けます。市場参加者の皆様のご信認により、機構債券の安定的な発行を継続し、社会基盤ともいえる住宅金融の可用性を高めていくことが「幸せの原点」ともいえる安心・安全な住環境の確保に繋がっています。市場関係者の皆様の機構及び機構業務へのご理解とご支援を、引き続き、お願い申し上げます。

令和5年7月
住宅金融支援機構 理事長

理事長サイン

2023年度 投資家向け説明資料

          
タイトル ファイル形式
Ⅰ . 住宅金融支援機構の概要と役割
Ⅱ . 【フラット35】及びMBS・SB・政府保証債の発行実績
Ⅲ . 2023年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅳ . 2023年度債券発行計画等
Ⅴ . 2022事業年度決算の概要等
PDF形式PDFファイル[6.7MB]
PDF形式(補足説明付き)PDFファイル[33.8MB]

過去の説明資料

過去の説明資料はこちらからご覧ください。
                          
掲載日 タイトル ファイル形式
2022年7月8日
Ⅰ . 住宅金融支援機構の概要と役割
Ⅱ . 【フラット35】及びMBS・SB・政府保証債の発行実績
Ⅲ . 2022年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅳ . 2022年度債券発行計画等
Ⅴ . 2021年度事業年度決算の概要等
PDF形式PDFファイル[8.5MB]
PDF形式(補足説明付き)PDFファイル[32.9MB]
2021年7月1日
Ⅰ . 住宅金融支援機構の概要と役割
Ⅱ . 【フラット35】及びMBS・SB・政府保証債の発行実績
Ⅲ . 2021年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅳ . 2021年度債券発行計画等
Ⅴ . 2020年度事業年度決算の概要等
PDF形式PDFファイル[4.5MB]
PDF形式(補足説明付き)PDFファイル[5.8MB]
2020年8月3日
Ⅰ . 住宅金融支援機構の概要と役割
Ⅱ . 【フラット35】及びMBS・SBの発行実績
Ⅲ . 2020年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅳ . 2019年度決算の概要等
Ⅴ . 2020年度債券発行計画等
PDF形式PDFファイル[4.6MB]
PDF形式(補足説明付き)PDFファイル[6.4MB]
2019年7月3日
(東京会場)
Ⅰ . はじめに
Ⅱ . 2019年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅲ . 2018年度決算の概要等
Ⅳ . 2019年度債券発行計画等
PDF形式PDFファイル[3.6MB]
2018年7月4日
(東京会場)
Ⅰ . はじめに
Ⅱ . 2018年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅲ . 2017年度決算の概要等
Ⅳ . 2018年度債券発行計画等
PDF形式PDFファイル[4.5MB]
2017年7月5日
(東京会場)
I . これまでの住宅金融支援機構の取組
II . 第三期中期計画における住宅金融支援機構の取組
III . 2016年度決算の概要等
IV . 2017年度債券発行計画
PDF形式PDFファイル[2.5MB]
2016年7月6日
(東京会場)
I . 住宅金融支援機構の取組
II . 平成27年度決算の概要
III . 第二期中期計画の取組状況等
IV . 平成28年度事業計画等
PDF形式PDFファイル[1.9MB]
2015年7月10日
(東京会場)
I . 住宅金融支援機構の取組
II . 平成26年度決算の概要
III . 第二期中期計画の取組状況等
IV . 平成27年度事業計画等
PDF形式PDFファイル[4.3MB]
2014年7月10日
(東京会場)
I . 平成25年度事業実績
II . 平成25年度決算
III . 平成26年度事業計画
PDF形式PDFファイル[4.8MB]
2013年8月7日
(東京会場)
I . 平成24年度事業実績
II . 平成24年度決算
III . 平成25年度事業計画
PDF形式PDFファイル[2.7MB]
2012年8月3日
(東京会場)
I . 第二期中期目標・中期計画の概要
II . 平成23年度事業実績
III . 平成23年度決算
IV . 平成24年度事業計画
PDF形式PDFファイル[2.9MB]
2011年8月5日
(東京会場)
I . 平成22年度事業実績
II . 平成22年度決算
III . 平成23年度事業計画
IV . 東日本大震災への対応
PDF形式PDFファイル[1.3MB]
2010年8月6日
(東京会場)
I . 平成21年度事業実績
II . 平成21年度決算
III . 平成22年度事業計画
PDF形式PDFファイル[717KB]
[国土交通省資料]長期固定ローンの供給支援のあり方に関する検討会について PDF形式PDFファイル[180KB]
2009年8月7日
(東京会場)
I . 平成20年度事業実績
II . 平成20年度決算
III . 平成21年度事業計画
PDF形式PDFファイル[703KB]
[国土交通省資料]住宅金融のあり方に係る検討会について PDF形式PDFファイル[200KB]
2008年8月6日
(東京会場)
I . 平成19年度事業実績
II . 平成19年度決算
III . 平成20年度の債券発行計画
PDF形式PDFファイル[774KB] ※ 当日配布した資料に一部誤りがありましたので(P28)、これを訂正しております。
【別冊】 独立行政法人整理合理化計画の進捗状況 PDF形式PDFファイル[314KB]
2007年9月5日
(東京会場)
I . 開始時貸借対照表と中期計画の見通し PDF形式PDFファイル[619KB]
II . 【別冊】平成18年度財務諸表 PDF形式PDFファイル[578KB]
III . 平成20年概算要求および平成19年度後半における制度変更について PDF形式PDFファイル[419KB]
IV . 住宅金融公庫は「独立行政法人住宅金融支援機構」に生まれ変わりました。 PDF形式PDFファイル[717KB]
2006年3月6日
(東京会場)
I . 独立行政法人住宅金融支援機構の概要について
II . 平成19年度の一般担保住宅金融支援機構債券発行計画について
PDF形式PDFファイル[327KB]
2005年8月8日
(東京会場)
2005年8月9日
(大阪会場)
I . 住宅金融公庫の概要と業務について
II . 平成17年度決算について
III . 一般担保住宅金融公庫債券発行の背景と平成18年度債券発行方針について
PDF形式PDFファイル[555KB]
【別冊】平成17年度財務諸表 PDF形式PDFファイル[112KB]
2004年7月7日
(東京会場、名古屋会場)
2004年7月8日
(大阪会場)
公庫MBSの今後の発行について PDF形式PDFファイル[232KB]

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