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公開日:2022年7月22日

住宅金融支援機構理事長 毛利 信二

はじめに

 住宅金融支援機構は、その前身である住宅金融公庫の時代から我が国の住宅政策の実施機関として、国民一人ひとりが真に豊かさを実感できる住生活を実現できるよう、長期固定金利型住宅ローンである【フラット35】の提供を行って参りました。

 「豊かな住生活」について一概に論じることは難しく、「豊かな住生活」は生活する方のライフスタイルや価値観が多様化する中では、時代とともに変化していくものであります。

 例えば、パンデミックは、IT技術と通信インフラの融合により、自宅にいながら勤務するリモートワークの浸透を大きく後押するきっかけとなりました。 今ではテレワークは我々のワークスタイルの日常となっており、勤務場所に縛られない二地域居住やワーケーションも珍しくありません。

 また、少子高齢化が続く我が国では、新成人の減少及び子育て世代数の減少へとつながっている一方で、共働き世帯は増加しており、家族構成、生活状況や健康状況等に応じた住まい選びができる幅広い選択肢を持つことは、「豊かな住生活」を実感するための大切な要素のひとつであると考えています。

 社会環境が変化し、人々の価値観が多様化する中で、気候変動の影響と考えられる自然災害が激甚化・頻発化する傾向が近年は多くみられるようになりました。 長雨やゲリラ豪雨による河川等の氾濫は、大切な生活基盤であり家計の資産において大きな割合を占める住宅に甚大な被害を与えかねません。人命にかかわる事態も残念ながら発生しています。

 住まいや地域の安全及び安心の確保に向けた取組がより一層求められる中、我が国においても2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする2050年カーボンニュートラル、そして脱炭素社会の実現が令和2年10月に政府によって宣言されています。

 住宅政策を実施する政府機関である住宅金融支援機構においても、省エネルギー性能の高い住宅に対する住宅ローンの提供を積極的に行っており、人々の安全・安心な暮らしに必要な良質な住宅ストックの形成・流通に貢献しています。

 具体の数字を申し上げますと、金利を引き下げた【フラット35】Sを累計92万戸の新築及び既存住宅に提供しています。

 令和4年度においても、脱炭素社会の実現に向けて、いくつかの新しい取組を開始する予定であり、そのひとつが機構グリーンリフォームローンの取り扱い開始です。

 人と地球にやさしい省エネに資する住宅のリフォーム工事を行うための資金をご融資させて頂くことが可能になります。

 具体には、建物の断熱改修工事、省エネ設備設置、これらに付帯する改修工事に必要な資金等をご融資させて頂きます。 既存住宅を対象とする一定の省エネリフォームに必要な資金をご融資させて頂くことにより、エネルギー消費量の削減及び良質な住宅ストックの更新に貢献します。

 また、令和4年度においては、必要な措置を講じることにより、ZEH(ゼッチ)を対象とする等、【フラット35】Sの対象住宅の省エネルギー基準の引き上げを行います。基準の引き上げにより、住宅ストック全体でZEH(ゼッチ)水準の省エネルギー性能の確保及び既存住宅における気候変動対策の強化に取り組み、2050年カーボンニュートラル実現に向けた政策実施を着実に行って参ります。

 住宅ローンをご融資させて頂くプライマリー市場において、住宅金融支援機構が【フラット35】S等の住宅ローンを適宜適切に間断なく提供させて頂くためには、住宅金融支援機構による住宅ローンの買取やご融資に必要な長期資金を安定的かつ継続的にご提供頂ける機関投資家の機構業務に対するご理解とご信認が必要不可欠であり、住宅金融支援機構はIR活動や統合報告書の発行等による情報発信に精力的に取り組んでいます。

 その結果、住宅金融支援機構の発行する機構MBS、機構グリーンボンドや政府保証付きグリーンボンドといった機構債券の発行残高は、令和4年3月末時点で21兆円を超える水準に達しており、債券市場におけるベンチマークとしてのステータスの確立及び流通市場における高い流動性の実現へとつながっていると認識しています。

 住宅金融支援機構は、情報発信と金融市場における信認は表裏一体であることを理解しており、様々なご意見や事例を参考にしながら、これからも情報発信のやり方や内容の見直しを行っていきたいと考えています。

 例えばグリーンボンドですが、2020年7月の欧州タクソノミー規則の施行により、欧州経済圏において発行されるグリーンボンドは、自国の省エネ基準のみならず欧州タクソノミー規則を充足する省エネ住宅ローンを対象に発行される必要があると聞いています。また、2021年7月に欧州委員会が欧州グリーンボンド基準を設定する規則案を発表しており、グリーンボンド基準の厳格化及び積極的な情報開示が要求される内容であるとの報告を受けています。

 我が国住宅金融の分野における最大のグリーンボンド発行体である住宅金融支援機構としては、欧州での新たな取組を自分事として捉えることにより、世界基準で求められる情報発信がどのような内容なのかしっかりと理解して、住宅金融支援機構の情報発信を世界基準にまで高めていきたいと考えています。

 最後になりますが、金融市場で必要な資金を必要なタイミングで調達できることが住宅金融支援機構の主力商品である【フラット35】等の住宅ローンの可用性を高める重要な要素のひとつとなっています。人々が「豊かな住生活」を実感できるよう、ライフスタイルやライフイベントに応じた住まい選びができるよう、住宅金融支援機構はこれからも長期固定金利型住宅ローンである【フラット35】の提供を中心に様々な金融商品の提供を行って参ります。


令和4年7月
住宅金融支援機構 理事長

理事長サイン

2022年度 投資家向け説明資料

          
タイトル ファイル形式
Ⅰ . 住宅金融支援機構の概要と役割
Ⅱ . 【フラット35】及びMBS・SB・政府保証債の発行実績
Ⅲ . 2022年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅳ . 2022年度債券発行計画等
Ⅴ . 2021事業年度決算の概要等
PDF形式PDFファイル[8.5MB]
PDF形式(補足説明付き)PDFファイル[32.9MB]
〈2022年7月22日更新〉資料に一部誤植がありましたので(P36グラフ)、更新しております。

過去の説明会資料

過去の説明会資料はこちらからご覧ください。
                          
掲載日 タイトル ファイル形式
2021年7月1日
Ⅰ . 住宅金融支援機構の概要と役割
Ⅱ . 【フラット35】及びMBS・SB・政府保証債の発行実績
Ⅲ . 2021年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅳ . 2021年度債券発行計画等
Ⅴ . 2020年度事業年度決算の概要等
PDF形式PDFファイル[4.5MB]
PDF形式(補足説明付き)PDFファイル[5.8MB]
2020年8月3日
Ⅰ . 住宅金融支援機構の概要と役割
Ⅱ . 【フラット35】及びMBS・SBの発行実績
Ⅲ . 2020年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅳ . 2019年度決算の概要等
Ⅴ . 2020年度債券発行計画等
PDF形式PDFファイル[4.6MB]
PDF形式(補足説明付き)PDFファイル[6.4MB]
2019年7月3日
(東京会場)
Ⅰ . はじめに
Ⅱ . 2019年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅲ . 2018年度決算の概要等
Ⅳ . 2019年度債券発行計画等
PDF形式PDFファイル[3.6MB]
2018年7月4日
(東京会場)
Ⅰ . はじめに
Ⅱ . 2018年度における住宅金融支援機構の取組
Ⅲ . 2017年度決算の概要等
Ⅳ . 2018年度債券発行計画等
PDF形式PDFファイル[4.5MB]
2017年7月5日
(東京会場)
I . これまでの住宅金融支援機構の取組
II . 第三期中期計画における住宅金融支援機構の取組
III . 2016年度決算の概要等
IV . 2017年度債券発行計画
PDF形式PDFファイル[2.5MB]
2016年7月6日
(東京会場)
I . 住宅金融支援機構の取組
II . 平成27年度決算の概要
III . 第二期中期計画の取組状況等
IV . 平成28年度事業計画等
PDF形式PDFファイル[1.9MB]
2015年7月10日
(東京会場)
I . 住宅金融支援機構の取組
II . 平成26年度決算の概要
III . 第二期中期計画の取組状況等
IV . 平成27年度事業計画等
PDF形式PDFファイル[4.3MB]
2014年7月10日
(東京会場)
I . 平成25年度事業実績
II . 平成25年度決算
III . 平成26年度事業計画
PDF形式PDFファイル[4.8MB]
2013年8月7日
(東京会場)
I . 平成24年度事業実績
II . 平成24年度決算
III . 平成25年度事業計画
PDF形式PDFファイル[2.7MB]
2012年8月3日
(東京会場)
I . 第二期中期目標・中期計画の概要
II . 平成23年度事業実績
III . 平成23年度決算
IV . 平成24年度事業計画
PDF形式PDFファイル[2.9MB]
2011年8月5日
(東京会場)
I . 平成22年度事業実績
II . 平成22年度決算
III . 平成23年度事業計画
IV . 東日本大震災への対応
PDF形式PDFファイル[1.3MB]
2010年8月6日
(東京会場)
I . 平成21年度事業実績
II . 平成21年度決算
III . 平成22年度事業計画
PDF形式PDFファイル[717KB]
[国土交通省資料]長期固定ローンの供給支援のあり方に関する検討会について PDF形式PDFファイル[180KB]
2009年8月7日
(東京会場)
I . 平成20年度事業実績
II . 平成20年度決算
III . 平成21年度事業計画
PDF形式PDFファイル[703KB]
[国土交通省資料]住宅金融のあり方に係る検討会について PDF形式PDFファイル[200KB]
2008年8月6日
(東京会場)
I . 平成19年度事業実績
II . 平成19年度決算
III . 平成20年度の債券発行計画
PDF形式PDFファイル[774KB] ※ 当日配布した資料に一部誤りがありましたので(P28)、これを訂正しております。
【別冊】 独立行政法人整理合理化計画の進捗状況 PDF形式PDFファイル[314KB]
2007年9月5日
(東京会場)
I . 開始時貸借対照表と中期計画の見通し PDF形式PDFファイル[619KB]
II . 【別冊】平成18年度財務諸表 PDF形式PDFファイル[578KB]
III . 平成20年概算要求および平成19年度後半における制度変更について PDF形式PDFファイル[419KB]
IV . 住宅金融公庫は「独立行政法人住宅金融支援機構」に生まれ変わりました。 PDF形式PDFファイル[717KB]
2006年3月6日
(東京会場)
I . 独立行政法人住宅金融支援機構の概要について
II . 平成19年度の一般担保住宅金融支援機構債券発行計画について
PDF形式PDFファイル[327KB]
2005年8月8日
(東京会場)
2005年8月9日
(大阪会場)
I . 住宅金融公庫の概要と業務について
II . 平成17年度決算について
III . 一般担保住宅金融公庫債券発行の背景と平成18年度債券発行方針について
PDF形式PDFファイル[555KB]
【別冊】平成17年度財務諸表 PDF形式PDFファイル[112KB]
2004年7月7日
(東京会場、名古屋会場)
2004年7月8日
(大阪会場)
公庫MBSの今後の発行について PDF形式PDFファイル[232KB]

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